教室がお休みになって2週間ですね。
門の前にヒマラヤユキノシタが咲きました。玄関の前にはハナミズキも咲きました。みなさんに見てもらえるのをとても楽しみに待っていたのですが。来年はきっと見てもらえますように。
石井は大学に、院もふくめて10年在籍しました。専攻は社会学ですが、実際は文化人類学という分野を学びました。一言で言うと「あたりまえを問い直す」分野です。自分にとっての「あたりまえ」と違う「あたりまえ」を持った人々〔他者/異文化〕がいる。そのような人々をいかに理解しようとするか(できるかできないかはまた別の問題です)、その営みを通して自分自身〔自己/自文化〕をいかに理解しようとするか(先に同じ)、そして異なるあたりまえを持つ同士が共に生きていくにはどうしたらいいか(またまた、先に同じ)を考え続けました。院を出てからも非常勤講師としていくつかの短大や大学で、実は昨年まで、若い学生を相手に共に考え続けました。教室の移転を機に、今後は公文に専念しようと退職したばかりでしたが、今の状況では二足のわらじは到底無理だったので、何か感じていたのかもしれません。
新型コロナウイルスが広がり、これまであたりまえにできたことができなくなってしまいました。それも、最初のうちは「非日常」ですので、妙に高揚した気分もあったのは確かです。みんなで力を合わせて乗り切ろう!と変にパワフルでもありました。しかし「非日常」も長く続くと、しかも終わりの見通しが立たないと、それが「日常」となっていきます。私たちは、これまでとは異なる「あたりまえ」の日常を送らねばならなくなりました。私がかつて〔他者〕を理解しようとする営みを通して〔自己〕を理解しようとしたように、この不自由な現在の「日常」を通して、これまでの「日常」を問い直す時がきたのだと思います。文化人類学が異文化も自文化も否定することなく、ともに生きるための新たな文化の創造を目指したように、皆が幸せに生きていくことのできる新たな「日常」をつくりあげること、それができれば、このコロナ禍は、多くの痛みを伴うものではあるけれど、一つの経験として生かすことができるのではないかと思います。
今こそできること、すべきことを日々考えています。
そしてみなさんと、また新たな「日常」でともに生きていけることを切に願っています。